円錐切除術の種類と概要

子宮頸部高度異形成(又は子宮頸がん初期)の治療法の一つである「円錐切除術」についてまとめています。
円錐切除術とはどんな手術か、また、術式の種類によるメリット・デメリットを比較しています。
※管理人は医療従事者ではありません。あくまで個人の経験と知識によるものですので、くれぐれも最終判断は担当医と相談して決定してください。
円錐切除術とは

【円錐切除術の対象者】
・子宮頸部異形成(中等度・高度・上皮内がん)
・子宮頸がん初期(0期・IA期)で妊娠を希望する方
※IA期よりも進行している方は適応外
【円錐切除術の概要】
円錐切除術とは、子宮頸部を円錐状に切除し病変部位を取り除く手術です。
手術に使う器具や術式は病院によって異なり、それぞれメリット・デメリットも異なります。
一般的には頸部を円錐状に切除したのち、出血と病巣の取り残しを防ぐため切開部分に熱変性を加えます。
【円錐切除術の所用時間】
手術時間はおよそ30分程度。
全身・下半身麻酔を行うため手術室の滞在時間はおよそ1時間〜2時間程度が一般的です。
入院期間は日帰り〜3泊4日程度です。
【円錐切除術の費用】
円錐切除手術は保険が適応されます。
病院によって異なりますが、20,000~50,000円程度です。(3割負担の保険適用時)
ここに入院費(事務手数料や差額ベッド代・食事代など)が加算されます。
ただし、日帰り手術は保険適応外となり自費診療で100,000円前後でです。
詳しくは手術を受ける病院にお問い合わせください。
その他の治療法との比較(メリット・デメリット)

【円錐切除術のメリット】
・高確率で病変を取り切ることができ、完治する
・切術をすると同時に内部の細胞をとることができるため、がんの状態を正確に診断でき、浸潤がんを見逃さない
【円錐切除術のデメリット】
・出血・大量出血の可能性
・子宮頸管狭窄症の可能性
・子宮頸管無力症の可能性
※円錐切除術による合併症のリスクについて詳しくはこちらに記載しています。
円錐切除術の種類と選択肢の必要性

【円錐切除術の種類】
「円錐切除手術」には、使用するメスや器具によって様々な術式があります。
日本で行なわれている主な種類
①メス(コールドナイフ)
②高周波電気メス(LEEP・下平式)
③レーザーメス
②高周波電気メス(LEEP・下平式)
③レーザーメス
それぞれのメリット・デメリットを認識し、ご自身の病状にとって一番適切だと思う方法を医師と相談して納得した上で手術に臨んでください。
【選択肢を得る大切さ】
病院によっては、術式が限られていたり、どんな術式で行うかを説明してくれない場合もあります。
円錐切除手術は開腹もなく短時間で終わるので一般的に「簡単な手術」と言われます。
しかし、患者本人にとっては大きな手術だと思います。
その後のリスクを踏まえ、納得できないようならセカンドオピニオンを受けることも必要ではないかと考えます。
円錐切除術の比較

【①メス(コールドナイフ)による円錐切除術】
<方法>
コールドナイフを使って子宮頸部を円錐状に切除し、病変をとる方法
<メリット>
・病変の細胞に熱の影響がでにくいので、詳細ながんの進行度を調べることが出来る
<デメリット>
・術中の出血が多い
・早産にあたえる影響が他のメス(高周波電気メス・レーザーメス)と比べて大きい
・脈管侵襲がある場合はリンパへの転移確率が高まる
【②高周波電気メスによる円錐切除術】
<方法>
高周波・電気メスを使い子宮頸部を円錐状に切除し、病変をとる方法
日本では主に2つの術式が用いられています。
a)下平式
b)LEEP(ループ式電気円錐切除法)
b)LEEP(ループ式電気円錐切除法)
【③レーザーナイフによる円錐切除術】
<方法>
レーザーナイフを使い子宮頸部を円錐状に切除し、がんをとる方法
<メリット>
・早産など出産に対する影響は、コールドナイフで行うものに比べて少ない
<デメリット>
・合併症のリスクがある
円錐切除術の術後について

【術後の日常生活における留意点】
病院によって多少異なりますが目安を記載します。
術後1週間
・シャワーのみで入浴は避ける
・重たい荷物を持たない
・
術後1ヶ月〜4ヶ月
・激しい運動や自転車などは避ける
・性交渉を避ける
・便秘コントロールをする
・禁酒(術後一ヶ月)
・シャワーのみで入浴は避ける
・重たい荷物を持たない
・
術後1ヶ月〜4ヶ月
・激しい運動や自転車などは避ける
・性交渉を避ける
・便秘コントロールをする
・禁酒(術後一ヶ月)
【切除組織の病理検査】
円錐切除術も、ある意味では子宮頸がん検査の一つです。
円錐手術によって摘出した組織は、病理検査によって詳細に診断されます。
子宮膣部を12方向に切り出して標本にし、全方向について病変を調べ最終的な診断を下すのです。
検診で行う細胞診や組織診よりもさらに奥の方の組織を調べることができるため、子宮頸がん(異形成)の深さや進行を正確に判断することができます。
結果、組織診よりも病変が進んでいる断片場合もあり、その後の治療方針を決定付けるという意味で円錐切除手術も子宮頸がんの検査の一つと言われています。
【円錐切除術の治療方針】
円錐切除手術により採取した病変組織を病理検査すると、術後約2週間程度で結果が分かります。
この結果に基づき、その後の流れが異なります。
a)切除断片が陰性
・・病変は取りきれているので完治とみなし、今後は定期検診を受ける
定期検診は3か月に1回が目安です。
1年間経過観察し、再発がなければ治療は終了。
その後、新たに子宮頸がんが発症する確率は殆どありません。
b)切除断片が陽性
・・病変が取りきれていないので再手術または広汎性子宮頸部摘出術や・子宮全摘出術を考慮する
切除断面が陽性とは、子宮頸部にまだ病変が残っているということです。
再度円錐切除術を行うか、病状によっては広汎性子宮頸部摘出術や・子宮全摘出術を考慮する必要があります。
【組織診と円錐切除術の病理結果の一致率】
手術前に行う組織診の病理結果と、円錐切除術の病理結果が一致するとは限りません。
組織診で採取できる組織は限られているので、いざ子宮頸部を円錐状に切除し病変を調べると、組織診より進行しているというケースも少ないくないのです。
とはいえ、円錐切除術の病理結果が「陽性」で追加手術を行ったものの、新たな切除部分には病巣が見られなかったケースもあります。
組織診と円錐切除術の病理結果の一致率については別に詳細をまとめています。
あくまで個人によって異なりますが、病理結果を待つ間の不安な心を落ち着ける参考程度に見て頂ければと思います。