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子宮頸部 高度異形成(CIN3) 名医による円錐切除術

細胞診(クラスIIIa)・組織診(CIN3)で円錐切除術。HPVハイリスク16型感染。円錐切除術の比較・リスク・対策・予防。また、他の治療法(レーザーなど)との比較。「今できること」をまとめています。

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HPV(ヒトパピローマウイルス)とは


ウイルス

子宮頸がんの主な原因は、ヒト・パピローマウイルス(HPV:Human Papillomomavirus)の持続感染です。
HPVに感染してもほとんどは免疫によって自然排除されますが、免疫低下により排除されずに持続感染すると子宮頸がん(異形成)を発症します。
ここではHPVの概要・型の種類・判定検査(メリット・デメリット)・ワクチンについてご紹介します。





ヒトパピローマウイルス(HPV)って何?自然になくなるの?


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【HPV(ヒトパピローマウイルス)とは】

HPVとは、人にイボを作るウイルス群として有名で、現在では約100種の型が発見されています。
感染原因は性交渉であることから、男性から女性に感染するケースもあれば女性から男性に感染するケースもあります。
一度でも性交渉の経験があれば誰もが感染し得るウイルスです。
性交渉の経験がある女性の7割・男性6割の方が、何らかのHPVに感染しているとも言われています。


【自己免疫によって自然排除される】

HPVは一時的な感染であることがほとんどです。
9割程度の方は、感染から1年〜2年で自己免疫により自然に排除されます。
しかし、感染した女性が何らかの原因により免疫機能が低下していると、HPVが子宮頸部に居座り持続感染することで癌化してしまいます。
子宮頸癌の発症は感染から5年〜10年程度を要するため、もしも感染が発覚したら免疫向上に努めることが大切です。


HPVにも種類がある?子宮頸がんになりやすい型は?



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HPVは約100種の型がありますが、膣内で見つかっているのは約40種程度。
そして、全てが子宮頸癌に進行するリスクを持っているわけではありません。
HPVの型の種類によって、癌化しやすいウイルス(ハイリスク型)と癌化しにくいウイルス(低リスク型)があるのです。

【低リスク型】

癌化リスク<なし>・・6.11.42.43.53.54.70
癌化リスク<少しあり>・・35.56.61.66.67.80.90.93.UN


【ハイリスク型】

癌化リスク<あり>・・31.33.39.45.51.52.58.59.82
癌化リスク<大きくあり>・・16.18


HPV検査とは?費用は?どこで受けられる?


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【HPV検査とは】

HPV検査は、子宮頸がんの原因となるウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。
子宮頸がん検診で最初に行われる細胞診の正誤率が60%であることから、最近ではHPV検査と併用して行う病院もあります。
HPV検査には、感染の有無だけでなく型の特定ができる検査もあり、将来ガンになる可能性を調べることができます。

HPV検査は2種類あります。

・スクリーニング検査・・・HPVに感染しているかどうかを調べる
・タイピング検査・・・どの型のHPVに感染しているかを調べる


HPVはハイリスク型とローリスク型に分かれるので、たとえHPVに感染していても全ての方が癌に進行する可能性があるわけではありません。
HPVに感染しているかどうかだけでなく、感染しているのならばどの型なのかを判定する検査も必要です。


【検査の方法・実施病院】

この検査は、細胞診と同様に子宮の入口の細胞を搾取してHPV-DNA検査を行います。
近年になって取り入れられた検査なので、どこの病院でも行っているわけではありません。
かかりつけの産婦人科や子宮がん検診を実施している最寄りの健診センターにお問い合わせください。


【費用】

HPV検査は保険適応外です。
病院によって多少異なりますが、自費診療で2万〜3万円程度です。
詳しくは受診する病院にお問い合わせください。


HPV検査を受けるメリット・デメリット


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【メリット①子宮頸癌の可能性を見落とさない】

一般的な子宮頸がん検診で行う「細胞診」は、正誤率が6割程度と言われていています。
このため、子宮頸癌の前がん状態である細胞異形成の時期を見落とす可能性もあるのです。
子宮頸がんは早期発見が極めて大切な病気です。
細胞診だけでなくHPVの感染及び型を調べることで、検診の精度が上がり、見落としを防いだり将来の子宮頸癌リスクを知ることができます


【メリット②手術を検討する指標になる】

すでに子宮頸部異形成を告知されている方にとっては、タイピング解析が手術を検討する一つの指標になるかもしれません。
例えば、中度異形成でもハイリスクの16・18型であれば高確率で高度異形成や上皮内癌に進行します。
何ヶ月も定期的な組織診断を繰り返し精神的な負担を続けるよりも、思い切って手術を検討するのも一つでしょう。

反対に、中度異形成で手術を勧められたとしても、HPVが低リスク型なら癌化せず自己免疫によって排除される可能性もあります。
すぐに手術を決断せず、しばらく定期検診を繰り返しながら様子を見るという選択もあるのです。


<管理人の考え>

管理人は、細胞診で中等度→組織診で高度異形成→二度目(一ヶ月後)の組織診断で軽度異形成でしたが、同時にHPV16型に感染していることが判明しました。
一度目の組織診によって高度異形成の部分が取り除かれた可能性もありましたが、担当医に「16型に感染していると、この軽度異形成の部分が高い確率でまた高度異形成まで進むよ」と言われ手術に踏み切ったのです。

もしも型の判定をしていなかったら、「組織診で取りきれているかも」「自己免疫で排除されるかも」という期待を抱いて手術を先伸ばしにしていたかもしれません。
もちろんどちらが正しい選択かはケースバイケースですが、HPVの型判定は、私にとって手術を決める大きな指標になりました。



【デメリット①金銭的負担】

HPV検査は保険が利かないので自費診療となり高くつきます(2万〜3万程度)。
これから手術を検討する方にとって、経済的な面も大きな負担となります。


【デメリット②精神的負担】

「高度異形成以上の方はほとんどの確率でハイリスク型に感染している為、わざわざ型を判定する必要はない」という意見もあります。
高度異形成・上皮内癌という前癌状態の告知でただでさえショックを受けているのに、HPVハイリスク型の感染告知で更なる精神的なダメージを受けることになるからです。


<管理人の考え>

管理人も、HPV16型感染の告知と説明を受けた時には大きなショックを受けました。
癌化リスクのあるウイルスに感染しているという事実は、言葉以上に重く心にのしかかってきます。
とはいえ、今後の治療方針や性生活のために受け止めなければいけないのも現実。
賛否両論あると思いますが、「もしかして治ったかも」というのちの後悔や余計な邪念を捨てるためにも私は受けてよかったと思っています。


HPVの予防ワクチンとは


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【予防ワクチンの種類】

100種程度の型があるHPVのうち、現在一部のHPV型には感染を予防できるワクチンが2種類登場しています。

サーバリックス・・16.18型
ガーダシル・・6.11.16.18型


ガーダシルで予防できるHPV6.11型は子宮頸癌の癌化リスクはありませんが、外陰上皮内腫瘍や膣上皮内腫瘍・尖圭コンジローマの発症リスクのあるHPVです。
特に、尖圭コンジローマは妊婦が発症すると出産時の母子感染により、まれに出生児が再発性呼吸器乳頭腫症を発症することもあるので注意が必要です。


【予防ワクチンの接種方法・注意点】

予防ワクチンの接種は全3回。
ただし、ワクチン接種を受けた場合であっても全てのHPV感染を防げるわけではないので、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

また、残念ながら予防ワクチンはすでに感染している人には効果がありません。
予防ワクチンの接種による副作用も残念ながら認められています。
しっかりとそれぞれのリスクを認識した上で医師と相談することをお勧めします。

 ♦HPV(ヒトパピローマウイルス)について

2 Comments

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/04/03 (Mon) 21:02 | REPLY |   

管理人@Mirei  

Re: 初めまして

mamさま

初めまして。コメントありがとうございます。
お返事が遅くなり申し訳ありません。

私はワクチン接種は行いませんでした。
理由は、副作用について心配があったこと。
また、すでにハイリスク型HPVに感染していたので接種するならば手術後にと思っておりました。

現在は手術後の経過観察中ですが、主治医とも相談してワクチン接種は考えておりません。
少しでもmamさまの参考になれば幸いです。

今は異形成の段階とのこと、早く良くなりますよう、お祈りしております。

2017/04/27 (Thu) 15:21 | REPLY |   

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