子宮頸がんの精密検査【コルポ診・組織診】と結果の見方

子宮頸がんの定期検診(細胞診)で異常な細胞が見つかった場合、細胞の様子を詳しく調べるための精密検査が必要です。
精密検査の痛みや出血、その後の生活や費用について。
また、最終的な診断となりその後の治療方針を決定付ける病理結果の見方についてまとめました。
精密検査ってどんなことをするの?

精密検査では問診の後に「コルポ診」と「組織診」が同時に行われます。
組織診で採取した組織を病理検査し、最終的な診断を下してその後の治療方針を決定します。
【コルポ診】
コルポスコープと呼ばれる虫眼鏡のような器具を膣内に入れ、表面に酢酸を塗って子宮頸部を観察します。
細胞診(肉眼)では見ることができない病変を発見することができます。
【組織診】
コルポ診によって異常が確認された場合、その部分の組織を数ミリ採取して病理検査します。
病変の深さ・進行レベルを調べ、最終的な診断と治療方針を決定します。
組織診は痛い?出血は?その後の生活は?

【痛みについて】
コルポ診による酢酸の塗布はしみたり痛みを感じることはありません。
しかし、組織診は組織を数ミリ採取するので人によっては痛みを感じることもあります。
数々の体験ブログから、痛みを感じた方に共通しているのは下記のような方々です。
・もともと痛みに弱い(注射なども痛い)
・痛みがあることを知らなかった
・緊張していて力が入っていた(息を止めていた)
・病変が数カ所に及び採取する回数が多かった
・医師の腕
以上のことから、(なかなか難しいとは思いますが)できるだけリラックスして力を抜き、深呼吸しながら検査を受けてみてください。
これを実践した管理人は、思ったほど痛みを感じずに終わりました。
もちろん個人差はあると思いますが、力が入っていると痛みを感じやすいと医師も言ってたので、ぜひ参考にしてみてください。
【出血について】
出血には個人差がありますが、検査後止血のためにガーゼを挿入されるので困るようなことはありません。
ガーゼは当日の夜または翌日に自分で抜くように指示されます。
その後も多少出血が続くこともありますが、長くても一週間程度。
生理用のナプキンで対応出来る範囲です。
心配な方は、検査の際に生理用ナプキンを持参すると安心です。
【検査後・日常生活について】
検査直後は、幹部の痛みや下腹部の違和感、吐き気、立ちくらみなどを感じることもあります。
急に立ち上がらず、不調な症状があれば医師や看護師に伝えましょう。
管理人も、歩いて帰宅できるくらいでしたが違和感はありました。
検査後は数時間、予定を入れないことをお勧めします。
検査当日は入浴は避けてシャワーのみ。
飲酒や性交渉、激しい運動も一定期間禁止です。
期間は病院によって異なりますが、3日〜1週間程度であることが殆ど。医師の指示に従ってください。
【費用】
精密検査は保険が適応されるため、6,000円〜15,000程度です。
お住いの自治体や受診する病院によって異なりますので、詳細は最寄りの機関にお問い合わせください。
精密検査の結果とその後の治療方針

組織診で採取した組織の病理検査結果は、2週間前後でわかります。
この結果に基づき、その後の治療方針を決定します。
精密検査の結果は大きく分けて3つです。
a)異常なし
b)異形成上皮(子宮頸部異形成)
c)がん
b)異形成上皮(子宮頸部異形成)
c)がん
【 a) 異常なし 】
現状、異常な細胞や悪性の細胞はないということです。
しかし、すでにHPVに感染していてまだ病変がない場合や、今後感染して異常が発生する可能性は十分にあります。
たとえ異常なしと診断されても、1~2年に1度は定期検診を受けましょう。
【 b) 異形成上皮(子宮頸部異形成) 】
子宮頸部の上皮内に、異形の細胞があるという診断です。
まだがんではありませんが、これから異形成が進んだり、ガンになる可能性があります。
細胞異形には3段階のレベルがあり、CIN (Cervical Intraepithelial Neoplasia)分類されています。
CIN1 ・・・ 軽度異形成上皮
CIN2 ・・・ 中等度異形成上皮
CIN3 ・・・ 高度異形成上皮or上皮内癌
CIN2 ・・・ 中等度異形成上皮
CIN3 ・・・ 高度異形成上皮or上皮内癌
< CIN1:軽度異形成上皮>
細胞は軽度異形です。
自己免疫によって自然排除されることが多いので、半年ごとに細胞診とコルポスコピーで経過観察します。
HPV排除のため免疫力を高めることを心がけましょう。
< CIN2:中等度異形成上皮>
細胞は中等度異形成です。
自己免疫によって自然排除される可能性が高いので、3~6カ月毎に細胞診とコルポスコピーで厳重に経過観察します。
HPV排除のため、免疫力を高めることを心がけましょう。
医師の見解や、CINが長期にわたって続く場合には、この段階で円錐切除術を進めるケースもあります。
この場合、HPVの型を判定し、病状が今後進行する可能性を予想(ハイリスク型感染の有無)してから決断することをお勧めします。
< CIN3:高度異形成上皮・上皮内ガン>
細胞が高度異形成レベルまたは上皮内癌です。
この二つは生物学的に非常に似ているため、同じCIN3に分類されます。
この段階まで進んでいると自然排除される可能性はほぼありません。
円錐切除手術によって子宮頸部を一部切除し、病変部位を取り除きます。
病状や妊娠希望の有無により子宮全摘出を勧められるケースもあります。
【 c)がん 】
子宮頸がんと診断された場合、下記のようなステージに分類されます。
0期=上皮内癌。癌が上皮内にとどまっている状態
1期(1A、1B)=がんが子宮頸部にとどまっている状態
Ⅱ期((ⅡA、ⅡB)=がんが子宮頸部〜膣の上2/3までで留まっている状態。骨盤の壁には達していない。
Ⅲ期(ⅢA、ⅢB)=がんが膣の下1/3まで達している状態、骨盤の壁に達している。
Ⅳ期(ⅣA、ⅣB)=がんが小骨盤腔と呼ばれる範囲を超えて広がっている、または膀胱・直腸粘膜まで広がっている状態。
1期(1A、1B)=がんが子宮頸部にとどまっている状態
Ⅱ期((ⅡA、ⅡB)=がんが子宮頸部〜膣の上2/3までで留まっている状態。骨盤の壁には達していない。
Ⅲ期(ⅢA、ⅢB)=がんが膣の下1/3まで達している状態、骨盤の壁に達している。
Ⅳ期(ⅣA、ⅣB)=がんが小骨盤腔と呼ばれる範囲を超えて広がっている、または膀胱・直腸粘膜まで広がっている状態。
一般的に0期・I期が「初期がん」、II期以降は進行がん(浸潤がん)と診断されます。
<初期がん(0期・I期)>
初期のがんは、「円錐切除術」による治療が可能です。円錐切除術では子宮を摘出しないため、術後も妊娠・出産が可能です。
しかし、円錐切除術で切除した組織を病理検査した結果、進行した子宮頸がんであった場合には子宮摘出術など更なる治療が必要なケースもあります。
<進行がん(浸潤がん)>
進行がん(浸潤がん)と診断された場合、進行レベルによって大きく治療法が異なります。
早急に更なる精密検査を受ける必要があります。
検査の種類
・内診
・MRI検査(magnetic resonance imaging)
・CT検査(computed tomography)
・膀胱鏡検査
・血液検査
・PET(ペット)検査
・シンチグラム検査
・MRI検査(magnetic resonance imaging)
・CT検査(computed tomography)
・膀胱鏡検査
・血液検査
・PET(ペット)検査
・シンチグラム検査
検査の結果に基づき、担当医と話し合いながら納得のいく治療法を検討する必要があります。