精密検査(組織診)の結果②高度異形成(CIN3)と告知された直後の心境

精密検査の結果、組織診で高度異形成(CIN3)と告知され、円錐切除術を勧められました。
きっと大丈夫だと思っていた私にとって、それは重すぎる結果。
病室を出ると、さっきまでいた待合室は、当たり前ですがさっきと同じで。
でも、明らかに何かが違って見えて、でも「癌の告知をされた人」と思われたくなくて平然を装いました。
高度異形成(CIN3)と告知されて

エスカレータに乗ってロビーに向かい、精算の列に並びます。
頭の中が真っ白で、正直よく覚えていません。
ただ、連絡が遅くて心配してくれていた親友のメールが滲んでうまく読めず、それでも周りの目を気にして涙を流せない。
心の中にぽっかりと穴が開いていくのを、ただただ受け入れていくしかできませんでした。
「お会計は番号でお呼びします」と言われ、笑顔で「ありがとうございます」といえた自分に自分で驚きました。
ソファに座り、会計を待つその間。
「ダメだった」と、親友に返信しました。
何がどうダメだったのか。
これからどうしていくのか。
家族には言うのか。
手術はどうするのか。
聞かれても頭が働きません。
病院を探すなら手伝うよ。
なんなら子宮貸すよって。
こんなに温かな言葉もすべてすり抜けていくようで、何も言葉になりません。
涙がこみ上げてきて、止められなくて、でも27にもなって外で泣くなんて恥ずかしくて、でも辛くて、苦しくて、なんで私がって。
ロビーの隅のソファで呆然としていました。
妊娠・出産への不安

もともとストレスから多嚢胞卵巣と診断されていた私は、数年前から子供ができにくいことをなんとなく理解していました。
でも、治療法は単純で、子供を授かった人もたくさんいる。だから大丈夫。
その時が来れば、大丈夫。そう思っていました。
そんな矢先の子宮頸がん。
確かに早期発見はラッキーなのかもしれません。
円錐切除術を受ければ、完治する可能性が高い。
でもその手術は、将来早産のリスクが数倍高くなる。
ただでさえ子供が出来にくいのに、できても早産のリスクが高いなんて・・。
そもそも手術で取りきれなければ、子宮全摘も可能性がある。
そうしたら子供は望めないし、女性であるということも失ってしまう。
もう、私は女性である資格も、子供を産む資格もないのかな・・・。
頭の中でぐるぐるとそんな考えが巡ります。
「出産」と言ってしまえばその一言ですが、
子供を授かり、母体を守り、健康に産み、この腕に抱くこと。
ただ、世の中に溢れている「出産」という、ただ、本当にただそれだけのことが。
どれだけ奇跡で、どれだけ尊くて、どれだけ愛おしいのか。
私が今こうして生きていることが、どれだけの奇跡の積み重ねなのか。どうして私には、それができないのか。
ただ、それだけのことが、ただ、それだけではなくなってしまった。
そんな瞬間でした。
パートナー・家族への告知とためらい

会計を済ませ、病院を出て彼に電話をしました。
「ダメだったみたい」
そう言葉にしたら、どんどん涙が溢れてきました。
「マジか・・」
大丈夫。きっと大丈夫だよ。手術して治るんだよね?
そんなことを聞かれた気がしますが、よく覚えていません。
駅までの道を歩きながらただただ涙が止まらなくて、すれ違う人が驚いている姿を見てしっかりしなきゃと思いました。
「でも、もう仕方ないね。しっかりしないと。病院、探さないと。」
そう自分に言い聞かせるように彼に告げて、電話を切りました。
正直言うと、詳しいことを話すのが嫌だという思いもありました。
認めたくなかったのかもしれないし、話すと余計に泣いてしまうとも思いました。
まず何をしたら良いのかな。
家族に相談してと言われたけれど、母にはなんて言ったらいいのかな。
病気に疎い母には、精密検査を受けるけど全然よくあることで大丈夫としか話しておらず、まさかこんな結果だったなんて言えません。
人一倍心配性な母は、それだけで負担になり体を壊してしまうのではないかと思いました。
今までわがままを言って好きなことをさせてもらってきました。
やっと自立して、これから親孝行だという時に。
どうして。どうして私が。そんなことを考えていたらまた涙が出てきました。
逃げてしまいたい。
そう思いました。
なかったことにして、また落ち着いて考えよう。
そしたらなくなっているかもしれないし、なんとかなるかもしれないし、もはや夢かもしれない。
そんな馬鹿な考えも一瞬本気でよぎりました。
でもそのすぐ後で、そんなのは無理なのだと思いました。
これは現実で、逃げることはできなくて、私は確かにがん患者になり、これから向き合う他にないと。
逃げれば逃げるだけ、病気は進行する。
逃げることはできない。やるべきことを、やるしかない。
駅まで歩きながらそう強く思いました。
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